MailDepot製品マニュアル (3.6.1)
この文書について
この文書では、メールアーカイブシステム MailDepot の概要やインストール・設定方法について説明します。 メールサーバの設定方法や管理ツールの操作方法などについては以下のマニュアルを参照してください。
- メールサーバ設定マニュアル
-
メールを取り込むために必要なメールサーバの設定に関する説明
- 管理ツール操作マニュアル
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取り込んだメールの検索やダウンロード、各種レポートの表示など、管理ツールの操作方法に関する説明
- バックエンド運用マニュアル
-
各種バックエンドプロセスや日次・月次処理、ログなど、バックエンドの運用管理に関する説明
はじめに
MailDepotは、送受信されたすべてのメールの長期間に渡る保存や、必要なメールの迅速な検索・参照など、メールアーカイブに必要なすべての機能を備えたメール・アーカイブシステムです。 また、メールの取り込みには、メールサーバからメールを複写転送する方式を採用しており、メールの配送経路を変更する必要がなく、MailDepot自身が停止したとしてもメールの配送に影響を及ぼすことはありません。
対応フォーマット
MailDepotが対応している添付ファイルのフォーマットは以下のとおりです。
| アプリケーション | ファイル形式 (拡張子) |
|---|---|
| Microsoft Office 97 - 2003 (Word、Excel、PowerPoint) | .doc、.xls、.ppt |
| Microsoft Office 2007 - 2010 (Word、Excel、PowerPoint) | .docx、.xlsx、.pptx (OpenXML) |
| OpeOffice.org 2.x - 3.x (Writer、Calc、Impress) | .odt、.ods、.odp (OpenDocument) |
| OpeOffice.org 1.0 (Writer、Calc、Impress) | .sxw、.sxc、.sxi |
| 一太郎 (8 以降) | .jtd |
| Microsoft Visio (2000以降) | .vsd |
| Lotus 1-2-3 | .123 .wj1 .wj2 .wj3 .wj4 .wk1 .wk2 .wk3 .wk4 .wks |
| RTF (ワードパットなど) | .rtf |
| HTML | .html、.htm |
| SGML | .sgml |
| XML | .xml |
| 各種アーカイバ | .zip、.tar、.tar.gz、.gz、.lzh、.tar.bz2 |
動作環境
MailDepotの動作環境は以下のとおりです。
| OS | Red Hat Enterprise Linux 7 Red Hat Enterprise Linux 8 Red Hat Enterprise Linux 9 |
|---|---|
| CPU | Intel x86、AMD64およびIntel64 (EM64T) デュアルコア CPU 2GHz 以上推奨 |
| メモリ | 最小 2GB、8GB以上推奨 |
| ディスク | SATA/SAS/FC 接続 RAID 構成(1/5/6/10) 推奨 |
| SMTP サーバ |
Postfix 2.0.11以降 Sendmail 8.12.10以降 Microsoft Exchange Server 2003 以降 Notes/Domino R6.5以降 Exchange Online (Microsoft 365) Gmail (Google Workspace) |
| POP サーバ |
Qpopper 4.0.8以降 Dovecot 1.0.5以降 Courier-IMAP 0.57.1 以降 Cyrus IMAP 2.2.12以上 |
※ 上記の SMTP サーバ以外にも複写転送機能(ジャーナル機能)を持つ メールサーバに対応可能です。
ご利用上の注意
メールの取込みについて
- 32bit版の OS をご利用の場合、1通のメールのサイズ上限は 2GB となります。上限を超えるメールは取り込むことができません。
- 32bit版の OS をご利用の場合、1通のヘッダ/本文/添付ファイルのサイズ上限は 2GB となります。上限を超えるメールは取り込むことができません。
- MailDepot では、1通のヘッダ/本文 1行の長さ、送信アドレス/受信アドレスの長さは、 8192バイトが最大となります。その行のそれ以降の部分については無視されます。
- メールに NULL 文字が含まれていた場合、その行のそれ以降の文字列は無視されます。
メールの検索について
- MailDepot では全文検索の機能を提供していますが、メールの文字コードとして
以下の文字コードをサポートしています。 その他の文字コードでエンコードされた
メールについては、ascii 文字列のみ検索可能です。
US-ASCII, UTF-8, ISO-2022-JP, EUC-JP, Shift_JIS
- MailDepot の全文検索はワード検索となり、文章を単語などのワードに分割し検索を行っています。 このため、検索文字列に複数のワードが含まれていた場合は、各ワードの AND 検索となります。 また、 単語の並びを指定するフレーズ検索については対応していません。
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MailDepot の全文検索は文章を単語などのワードに分割しインデックスを作成しています。 このため、文章に検索文字列が含まれていたとしても、検索文字列と分割されたワードが異なる場合は、検索することができません。
例えば、文章に「東京都」が含まれていた場合は、「東京」と「都」というワードに分割し保存が行われます。 従って、検索文字列として「京都」を指定しても、検索することができません。
また、文章中のテキストは連結されて処理されるため、改行などにより区切られている場合やフィールドが異なる場合でも連結したワードとしてインデックスが作成されることがあります。
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MailDepotの全文検索はワード検索であり、文章を単語などのワードに分割して検索を行っていますが、 MailDepotでは辞書に基づいて文章を解析し、単語などのワードに分割しています。 このため、辞書に登録されていない単語は誤ったワードに分割され、指定したワードで検索できない場合があります。 そのような場合には、辞書に単語を追加することによって検索できるようになることがあります。
ただし、辞書を変更することによってワードの分割方法が変化するため、変更前に検索できていた検索文字列が変更後に検索できなくなる場合があります。 以下に辞書に単語を追加する手順を参考として提示しますが、辞書に対する変更(単語の追加や削除)はサポートの対象外とさせていただいております。
- 辞書ファイルを作成します。
# vi /opt/maildepot3/lib/mecab/dic/user.csv
辞書ファイルは1行につき1つの単語のエントリを記述するCSV形式のファイルです。
エントリの各フィールドの意味は以下のとおりです。
- 辞書ファイルをコンパイルします。
# /opt/maildepot3/libexec/mecab/mecab-dict-index \ -d /opt/maildepot3/lib/mecab/dic/ipadic \ -u /opt/maildepot3/lib/mecab/dic/user.dic \ -f utf8 -t utf8 /opt/maildepot3/lib/mecab/dic/user.csv - ユーザ辞書を使用するように設定を変更します。
# vi /opt/maildepot3/etc/mecabrc
userdicパラメータの値にコンパイルした辞書ファイルのパスを設定します。userdic = /opt/maildepot3/lib/mecab/dic/user.dic
表層形,左文脈ID,右文脈ID,コスト,品詞,品詞細分類1,品詞細分類2,品詞細分類3,活用形,活用型,原形,読み,発音
例えば、「えすあーるえい」という単語を追加する場合には以下のように記述します。 左文脈ID、右文脈IDはその単語を左右から見たときの内部状態ID、コストはその単語がどのくらい出現しやすいかを示しており、小さいほど出現しやすいことを表します。えすあーるえい,1292,1292,8034,名詞,固有名詞,組織,*,*,*,えすあーるえい,えすあーるえい,えすあーるえい
http://mecab.sourceforge.net/dic.html
- 辞書ファイルを作成します。
- 暗号化されたメールや、暗号化された添付ファイルの内容検索はできません。
- タイトルや作成者などの添付ファイルのプロパティについては検索対象となりません。
- 内容検索が可能な PDF ファイルについては以下の制限があります。
- 内部コードから Unicode への変換マップ(ToUnicode)をもつファイル
- ToUnicode がない場合、文字エンコーディングが Adobe-Japan1, Shift_JIS, EUC-JP, UTF-8, UCS-2, UTF-16 のいずれかであるファイル
- データ圧縮に FlateDecode 方式を使用したファイル
-
Microsoft Office ファイルの検索に対して、高速保存したファイルは正しい内容検索ができません。
高速保存は、ファイル全体を毎回保存せずに前回の保存後の変更のみを保存する機能です。 MailDepot では、前回の保存後に内容が変更されても、前回の保存時のファイルの内容を含めて検索が行われます。
- MailDepot では、HTML メールの内容検索にも対応してしていますが、 検索したメールを表示する詳細画面の本文表示では HTML メールは、 セキュリティを考慮して、ソース形式で表示しています。 HTML として表示したい場合には、 ダウンロード機能ならびに転送機能を利用して頂く必要がございます。
- メールのサイズが128Mバイトを越える場合、メール詳細画面にて本文を表示しないように 制限を行っています。 設定サイズを越えるメールの本文の内容を参照する場合は、 ダウンロード機能をご利用下さい。
- MailDepot では以下の MIME エンコードに対応しています。
7bit, 8bit, base64, quoted-printable
- メール検索において検索結果が非常に多い場合には以下のようなメッセージが出力されます。
その場合は、検索条件を追加して再度検索を行うか、システム設定 画面で検索結果の最大件数を増やしてください。
本文・添付ファイルの検索結果が 10000 件を越えています。 本文・添付ファイルの検索条件を追加して検索結果を絞り込んでください。
POP/SMTPの設定について
- MailDepot では保存するメールの取得に POP/IMAP プロトコルを利用していますが、
MailDepot では最大10件の POP/IMAP アカウントを登録できます。 また、POP/IMAP 認証として、
下記の認証方式に対応しており、POP/IMAP アカウント設定ではログイン名とパスワードを
設定して頂きます。
接続プロトコル 認証方式 POP3 POP3, APOP IMAP CRAM-MD5, PLAIN - MailDepot ではアラートメール送信などで SMTP プロトコルを利用しており、
MailDepot の管理画面で SMTP サーバの登録を行って頂きます。 SMTP サーバの設定では、
サーバの IP アドレスおよびポート番号の他、SMTP AUTH で利用する認証アカウントを
登録できます。 MailDepot では、 SMTP AUTH に以下の認証方式をサポートしています。
接続プロトコル 認証方式 SMTP PLAIN, CRAM-MD5 - MailDepot では SMTP プロトコルならびに POP3 プロトコルに対する SSL 接続や
TLS 接続はサポートしていません。 SSL 接続や TLS 接続が必要な場合には、
トンネリング接続ソフトウェアを設定する必要があります。
Stunnel による SSL 通信の設定
- MailDepot にはウィルス検出機能ならびにウィルス削除機能は提供していません。 このため、ウィルスを含んだメールも通常のメールと同様に保存されます。 このため、 管理画面からメールをダウンロードする場合やメールを転送する場合には、受信側に ウィルス対策ソフトを導入して下さい。
レポート機能、アラート機能について
- MailDepot が停止している状態では、アラートメールは送信できません。 また、 メールの取り込み処理が停止している期間は、レポート情報は更新されません。
データ管理機能について
- 管理ツールでのデータ管理機能では、当月分のデータについてはバックアップできません。 当月データならびに設定ファイル等のバックアップを行う場合は、md_snapshot コマンド または md_backupall コマンド、md_backup_day コマンド により、手動でバックアップすることが可能です。